2016-12-28

Visiting a Traditional fabric Craftsman  化粧回し制作風景レポート


橋本刺繍店3代目橋本貴幸氏
東京都伝統工芸指定「江戸刺繍」認定


今日は、普通めったに見ることができない化粧回しの制作風景をちらっと紹介します。

いろいろな人のご縁の重なりで関わるようになった国技相撲、日本人としてものすごく光栄なこと。今回デザインしたのは新十両入りする時津風部屋、小柳関の化粧回し。実際に刺繍をしてくれるのは千葉、松戸にある橋本刺繍店の3代目橋本さん。

1月6日の激励会にて贈呈、8日から始まる1月場所で早速つけてもらうので完成に向けて追い込みの真っ最中で忙しいところ、さらに年末にもかかわらずお邪魔して行程を見せてもらいつつ色々と話を伺いました。ありがとうございます!



橋本刺繍は色々とある江戸刺繍のなかでも「駒織り」と呼ばれるもの。写真に写っている木製の糸を巻きつけたものが「コマ」。

今回は背景のグラデーションを染めではなく全て織りで表現してもらうのだが、、これがすごい!!糸を撚る時点で濃紺が混焦らせその糸を台に縫い付けてグラデーションを表現している、まさに職人技。日本のこういう手作業の技術って本当に世界に誇れるものだと思う。(正代関の木鶏の化粧回しもグラデーションは織りで表現したかった、、








化粧回しの表と裏から糸を通していき刺繍を構築していく。台と糸が擦れるリズミカルな音を聞いているのが心地よい。祖父の頃から合わせて100年以上代々受け継がれている伝統、現在の橋本刺繍店になったのは昭和30年で祖父の代は店舗を持たずにいろいろなところを渡り歩いていたそう。

メインの刺繍が終わり次第、馬連や四股名、数々の他の部品を全て縫い合わせ年明けに完成する予定。


デザイン画部分アップ(お披露目まで図案はマル秘です)


力士の化粧回しのデザインを始めて手掛けたのが2007年。早っ、もう来年で10年経とうとしてますね。

日頃取引先などで世間話の延長で相撲や化粧回しの話になると、、、驚くほど今の20代〜30代の人は相撲のことを知らない、、、国技なのに。しょうもないテレビ番組とかSNSとかのことはすっごい詳しいのに国技である相撲のことを知らなすぎでは?ひどい人になると化粧回しの存在すら知らない人もいます。


そのくせ、国際化社会だから英語が大切だとか言って、日本語もろくにしゃべれない子供に英会話習わせたり、ガイジンのように個性が大切だから自分を表現するダンスがいい!だとか、、、アホかと笑。真の国際人って自国の文化を英語できちんと説明できる人のことなんだけど。まず自分の国のことを知らないと。


話がそれちゃいましたが、、
せっかく化粧回しのデザインを通して角界に携わらせてもらっているので、相撲のかっこよさや奥深さ、粋なところなどを若い世代に伝えられたらなと、ここ何年か考えていました。相撲って所作ひとつとってもそこには意味があり、知れば知るほど奥が深く、素晴らしい文化が詰まっています。携わって10年経った今でも知らないことだらけで新たな発見ばかりです。そのたびに本当に日本ってすごいな、と思う。それを次世代に伝えたいし海外にも紹介したい。

その一環としてまず自分がデザインした化粧回しがどういう過程で作られるかをこれからいろんな職人に取材して撮りためていこうと思います。そしてイマドキな雑誌に面白い切り口で伝統職人のかっこよさを紹介する記事を書きたい。この企画に興味ある編集者はご連絡くださいね。今各方面に色々とお願いしてますが。





「これ糸を撚る機械ですよね!なんて呼ぶんですか?」
「糸撚り機だよ」
「そのまんまなんですね」

もう何十年も使われてる糸撚り機、職人が長年使っている道具ってものすごい存在感ありますね。

今回はまだお披露目前なのでデザインも出せず、職人さんの様子もちらっとしか紹介してませんが6日の激励会で贈呈した時にデザイン発表しますのでお楽しみに。今回のはすごいです。毎回言ってますが笑