2015-10-19

ACA SUP Instructor course Level 3 The final day

morning coffee by the river before the session


朝、コーヒー片手に河原にみんな集合。
最終日の今日はほぼ全日がテスト。レベル3はすべて野外で行われ、実技の合間に河原でプレゼンテーションとディスカッション。


今日の試験内容は、限りなくリアルに川に初めて出るお客さんに対するインストラクションを一通り行うこと。

デモンストレーション、わかりやすい説明と指導、グループマネージメント、安全確保をきちんとしながら、ストリームイン、エディーターン、C&Sターン、リバーサーフィンなど川の基礎技術を2人一組みになりインストラクター役を交代しながら行う。と書くと固く聞こえるけど、Safe - Fun - Learnの順番が大切なので楽しませるのもインストラクターの大切な役目。このFun部分は僕たち皆の得意分野なのでテストの間とはいえ常に笑いがたえない楽しい時間だった。

でもこのSafe- Fun - Learn っていう順番すごい「学び」の本質をついてると思う。
安全がまず一番、その次に楽しむ、最後にくるのが学び、得てして"まじめな人達"は真ん中のFunを忘れがちだけどやっぱり何事も楽しまないと。チャーリーさんも言ってました「It is interesting that learning part comes in the end」って。



ACA instructor 's instructor   Charlie MacArthur  

講師のチャーリーさん。

今回感動した沢山のことの一つ。
今回5日間の間チャーリーはただの一度も僕たちの意見や質問に対して否定的なことを言いませんでした。

どんな的外れな意見や質問、そしてミスに対しても必ず最初にいいところを見つけてくれます。ミスしても「ミスを実演してくれたのでそれを取り上げるタイミングをくれてありがとう」(日本語で書くとちょっとイヤミに聞こえるけど英語だとさらっとしてます)見当ちがいな質問でも、「後々関係してくることだし今先に言ってくれたからこの機会にみんなで考えよう!」などつねに柔軟に前向きに受け止めてくれるので、雰囲気はつねに前向きで、皆の学ぶモチベーションは高くキープしたまま。

そんな空気感を作れるチャーリーは「まじスゴイっす」(ランギ)


そして、なにをやっても「どうしてその行動をとることにしたのか?」理由をきちんとなっとくするまで聞いてくれます。

つい相手と意見の相違がでると「それ違うでしょ」って論破しようとする僕にとってはものすごい勉強になった。

「もちろんコマンドースタイル「これが答えだ、俺の言う通りにやれ〜!」っていう教え方のほうが時間も短縮できるし、沢山の情報を発信できるけど、その情報を確実に受けとめて消化してもらわないと意味ないでしょ?何事もみんなでディスカッションして勧めた方がポジティブな雰囲気の中でみんなが理解して楽しく勉強できる。時間がかかるけどそういう教えかたを広めていきたい」みたいなことをチャーリーが言ってたけど、そのとおりだと思う。
チャーリーさんほんとにありがとうございました!インストラクターとしてだけではなく人として常に的確な方向を示してくれる僕たちのコンパス的存在です。




僕たちのインストラクター実演が終る度に、皆でディスカッションして、その後チャーリーが補足的にまとめやアドバイスなどをしてくれます。



「決して答えは一つではない」チャーリーが繰り返し言ってた事。

「正しい答えより、適切で効果的な行動」。答え合わせが大好きな僕たち日本人にとってはちょっと馴染みがないかもしれませんね。そして「地球上に"安全(リスクがない状態)"は絶対にない。だから"より安全(ローリスク)"を常に求めろ」ともよく言ってました。


マニュアルに沿って「正しい答え」を覚えて行く日本型の指導ではなく、その状況にあった最適な対応を行える行動力(スキル)とその根拠を考える力を身につけて行くプログラム。(もちろんACAのベーシックなテクニックや考え方のマニュアルはあるけれど)
マニュアルがあるとある意味楽です、考えなくていいから。けど現実世界ではマニュアル通りの事は起こらない。

特にウォータースポーツの指導は自然と人が相手。
自然環境、お客さんの実力、指導者の特性、道具の種類、ロケーションによりありとあらゆるシチュエーションがあるのでマニュアルの正しい答えを覚えていくよりも、考え方を身につけその場その場で、リスクの少ない、効果的な方法を考えそれを実行する力が必要。

そう、日本の教育で一番欠けている3つのファクター。「自分の頭で考える決断力」「それを行動に移す実行力」「どうしてそれが適切かと判断した理由を理論的に説明できる表現力」。(まあその大切な3つのファクターを日本の教育から取り上げたのはアメリカ人なんですが、それを話すと長くなるのでそれはまた今度)

この5日間はほんとに頭をフル回転していろいろと考えました。




無事終了!最高の仲間達でした。

論理面や指導面の他にもテクニック面でもいろんな収穫があった。

エディーターンやストリームインなどはダウンリバーにおいて最も基本的な動作なのですが、大切なのは川の流速差を利用しボードをターンさせること。僕が今までやっていたことはパドルワークでターンするフラットウォーターと同じパドル主導の動きでした。折角の流水差があるのにその力をあまり利用していなかったみたいです。パッと見は同じターンでも流れにボードを合わせてきっかけを作るのと、パドルできっかけを作るのとでは全く違いました。流れが自然にボードをターンさせてくれるサーフィンライクな感覚、このリバー特有の面白い感覚と基本を改めて認識できました。

それを発見し、シンプルにBack to basicsできたのが大きな収穫。
いままで自己流にやっていたことに、常に立ち返ることができる基本を身につけることができた。(まだ完全には身についてないけど)

自分の力主導ではなく自然の力にきちんと合わせる。サーフィンと同じでやっぱりこれが基本ですね。チャーリーさんがいい見本、55歳なのにまだまだ現役でレースで上位だったり、サーフィンやいろんなウォータースポーツを最前線で楽しめるのも自然の流れを見極めてそこに自分を合わせるスキルがあるからでしょう。




で、結果。
無事合格しました。
最終日の最後にチャーリーに一人づつ呼ばれて面談し結果を言い渡されるわけですが、すごいドキドキ。
そして合格後に知ったことですが、実はこのレベル3、アメリカ国内では合格率は10%以下で、一発で通る人は珍しいとのこと。

今回レベル3を受けた7人中3人が合格したのはかなりレベルが高いグループで異例なことらしく、チャーリーもびっくりしてました。
これだけ高い合格率だったのは僕たちのチームワークの賜物だと嬉しいことも言われました。ACAコースは内容が非常に濃く、情報量も膨大にあったので僕たちは皆5日の間何回かは自信をなくし頭がこんがらがりました。彼の言う通りにチームワークで乗り切れたのではないかと。チームとして得られたものも非常に大きかったし、一人一人のスキルもものすごくアップしました。




あっと言う間に終った5日間。やっと終ったというより名残惜しい寂しい感すらある。

講習の一番最後に一人づつ順番に5日間の感想を皆でシェア。
「ほんとうに最高なメンバーと出会えてうれしい」「感謝で一杯」「皆で日本のリバーSUPシーンを築いていきたい」「この機会を作ってくれたヤクちゃんに感謝」などなどアツい感動的な発言が続き、タケゾウさんとかは感極まってちょっとウルウルしてたところでスッゴイスポーツのQちゃんの番。

「この5日間、チャーリーさんを見ていてずっと思っていたのですけど、、」
もの静かな彼が淡々と、だけど力強く語り始めたので皆で耳を傾ける。




「レッチリのフリーに似てません?」



ほんとだー!爆笑



打ち上げ@青梅の魚民
ここでも爆発
タケゾウさんのデカい笑い声とランギのマオリなまりの英語が青梅に響き渡る。







ここで改めてACAから講師のチャーリーを招いて日本で講習を実現してくれたヤクちゃんに感謝。
彼はレベル1を持っているので2から合流して僕たちと一緒に受講するんだろうと思っていましたが、なかなか参加しないのでなんで受講しないの?って聞いたところ、、
ACAのインストラクター講習は定員がマックス10名なので今回は希望者がおおくヤクちゃんは自分は受けずに僕たちに枠を譲ってくれたそうです。そして5日間裏方として僕たちをいろいろとサポートしてくれました。
「今回は皆に受けてもらった方がリバーSUPの魅力がより日本で広まるからいいんだよ」って。彼が2年ほど前からこの講習を受けたがってたのを知っていたのでその話を聞いた時にはほんと感動しました。彼のこうやっていろんなことを仲間にシェアしてくれる精神には本当に感謝です。


そして通訳のダイさん。この仲間の輪ができる機会のきっかけがヤクちゃんだとしたら接着材となったのがダイさん。チャーリーと皆の間に入ってコミニケーションのサポートするの大変だったと思います。ありがとうございました!




世界で最も信頼されているパドルスポーツ指導者認定制度の一つと言われているACAの今回の講習。比較的新しいスポーツであるリバーSUPを通してウォータースポーツの楽しさを広めよう!という仲間達が日本中から集まりいろんな事を学んだスーパーハイテンションな5日間でした。

その5日間の最後を飾るのはこの写真。





ヤバいねこれ。
ニュージーランドで育ち学生時代はラグビーのトップ選手だった佐々木 弘道、aka Bad Boy ランギの本場仕込みのハカ。
本物なので迫力がすごい。大抵飲み屋でこれをやって追い出される流れになるそうです笑。が、やってる最中に茶々を入れられたり、止められたりしたことは一度もないそう。ついみんな見とれるみたい。っていうか凄い気迫で誰も止められないから!いつ会っても最高な男です。見た目コワいけど中身は最高に優しいナイスガイ。