2012-02-08

Drawings for "Horizon",,,and Vermeer exhibition

a drawing for Horizon series   2000    ink on paper 728x1030 

a drawing for Horizon series   2000    ink on paper 728x1030 

午後に渋谷の文化村でやってるフェルメール展を見に行ってきました。
なんと一カ所にフェルメールの作品が3つも集まっています。これは30数点しか作品が現存しないのですごいことです。さらに一般に公開されている作品はさらに少ないです。
フェルメールの作品3点と同時代のオランダ画家たちの作品が「手紙というコミュニケーション」に焦点をあてて、当時の生活模様も丁寧に紹介されていたとてもいい展覧会でした。

15年以上もまえ、フェルメールの作品に会うためにヨーロッパを巡る旅をしました。いまのようにインターネットも携帯もない時。現地の美術系のガイドブックやパンフレットを頼りにいろんな国にいって、10点ほどの作品を実際に見ました。(なかにはパンフレットにフェルメールの〜〜作品って書いてあるのに行ってみたらないっていうのもざらです。)後にアメリカでも何点か見てるのでフェルメールの作品は合計13〜4点は実際に見てます。これは結構自慢です。
美術館巡りでヨーロッパを3〜4周しましたが、そのうち1周はフェルメール周回でした。
いまは便利なもので、ググると、こんなふうに国別にまとめられてたりします。

18年ぶりに見るフェルメールの作品。なんだかかってに、昔の知人に久しぶりに会うような感じで見に行きました。作品をみると当時の記憶がよみがえり、そのころの自分が思い出されます。自分の表現手法を模索して、日々もがいてたころ。って、実は今もそうですので基本全然変わってません。
が、フェルメールの作品のほうは変わってました。
最新のなんとかなんとか技術によって、フェルメールブルーが鮮やかに再現!フェルメールが意図したであろうブルーが鮮やかに表現されてました!

これって必要なのでしょうか?ありがたいことなのでしょうか?

17世紀の絵ですから、色が褪せるのは当然。
絵画の持つ空気感のなかで、作者の意図に想いを馳せて、褪せた色を頭のなかで当時の色に変換していく。自分のイメージのなかで輝かせるフェルメールブルーのほうが、「はい、これが本当のフェルメールブルーです。」って言われるよりロマンがあっていいと思う。楽しいし。
形あるものは壊れて行くのは当然ですので、過剰に保護するのもどうかと。美しい人は年をとってもしわも美しくみえます。そのしわを手術でとっちゃって、可愛くしちゃいました〜。ってかんじでした。

それにしても、沢山の人が見に来ててびっくり。週末は混んでるだろうと思って平日のしかも2時くらいに行ったのに。大混雑。平日でこれだと週末はどうなるんだろう。
日本で展覧会にいくたびに感じますが、これだけ多くの美術愛好家や興味がある人がいるのに、アーティストが育たない国。すごい。これだけの多くの美術愛好家が新しい作家を見つける面白みを知ったり、自分の価値観でアップカミングな作家のコレクションを始めたら、ものすごい美術大国になると思います。
が、なんせ僕たち日本人は、小中高の長年の教育のおかげで、「自分の価値観を磨いたり、新しいものを発掘したり、自分の頭で考えたりする能力」を奪われてますので無理な相談ですね。なので誰かが「これがすごい作品です。」って権威付けしてくれないと、なかなかお金を払ったり、自分で価値を見いだすことは難しい。
本来教育とは「自分の頭で考える」大切さを教えるものだと思うのですが、アメリカの戦略でまんまと「自分で考えず、人から与えられた物をハイパーにこなす」系になってしまったのでしょう。

あと、みんな作品を近くで見過ぎ!ある程度離れてみないと、作品全体の流れとか空気感とか感じれないと思うのですが。離れて見て全体を味わったあと、気になったところを近づいて見て、で、もう一度離れて見てみる。そうするとそのディティールが全体にどんな影響を与えてるかがわかり、直感でいいと思った物を理論で補える。
あと勉強してるんじゃないんだから解説とかそんなに読まなくても、堅苦しくなくもっと気軽に見て感じたほうがいいのでは?まあ楽しみ方は人それぞれなのでいいですが、そんな鑑賞法をお勧めします。

これからポロック展もあるし、銀座のほうでもなんかテクノロジーを駆使したCGでのフェルメール展をやってるらしいので楽しみです。とにかく東京にいると、世界中の名画やコンサートが沢山きてくれるのでうれしいです。